スタッフブログ

2015年1月21日 水曜日

う蝕や不正咬合における遺伝との関係

う蝕は歯周病と並んで日本だけでなく世界に蔓延している疾患であり、これに不正咬合を加えて、歯科領域における三大歯科疾患と考えられている。小児歯科においてもう蝕と不正咬合の予防と治療が主な領域であり、これらの基礎的臨床的研究が多く行なわれている。

生物の形質は、親から子へ受け継ぐ遺伝的影響と、環境的影響によって決定されると考えられている。人においても遺伝しない形質はないといわれており、う蝕と不正咬合も遺伝的影響によって左右されている疾患である。臨床家にとってもう蝕と不正咬合に関する遺伝的影響について尋ねられたときに、即座に返答ができるような知識を持っておくことが肝要である。

う蝕についていえば、同じように歯ロ淸掃や砂糖の量を指導されている同年齢の子供たちのなかにも、う蝕の多い子もいれば、全くない子もいる。また同じ環境と思われる家族のなかでも、兄と弟ではう蝕のかかり方が違う場合がある。このように環境的影響だけでは理解できない部分があることは周知の事実である。このことは、遺伝的影響がう触と深い関係にあることを物語っている。
う蝕と遺伝のかかわりあいについて考えるためには、まずう蝕の原因から論じなけばならない。Keyesは宿主、微生物、食物の要因があり、この三つの要因が重なった部分にのみう触が発生すると報告しており、この三つの要因は遺伝的影響を考える際に極めて重要である。

宿主つまり歯については、形態的および生化学的な面に分けられる。歯の形態やその配列状態によって、自浄作用と歯ロ淸掃の難易度に差が起こり、う蝕の感受性の違いとして現れる。生化学的な面では歯の質つまり石灰化度の高低によっても感受性が変化する。これは成熟永久齒よりも幼若永久歯のほうがう蝕にかかりやすいことからも明白である。

微生物が遣伝するというのは少しおかしく感じられるかもしれないが、実際に家族的に口腔常在菌がよく似かよっていることが知られている。これは母子間などで細菌の伝播が推察される。また、歯面に細菌が忖着するためには唾液中の糖タンパク質からつくられるペリクルが必要である。この糖タンパク質の性状も遺伝的影響を受けている。さらに唾液中に分泌されているIgAという免疫物質も遺伝的に支配されていると考えられている。これらのことは細菌の歯面への付着に 影響を与えると思われる。つまり、口腔常在菌も遺伝的影響にはなんら無関係のようにみえるが、その定着過程で遺伝的に関係が深いことが指摘されている。

食物も一見遣伝とは関係ないように感じられるが、嗜好性として考えられている。つまり、遺伝的に支配されている味覚能が嗜好性に影響を与えるといわれている。以上のことから、臨床の場で「親子でう蝕が多いがどうしてか」と聞かれた場合に、環境的影響を十分に考慮したうえで、遺伝的影響について指導することも大切ではないかと思われる。

不正咬合と遺伝について述べるときに、必ずといっていいほどとりあげられるのがハブスブルク家の顎である。以前から下額骨の過成長による骨格性の下顎前突は、極めて高い遺伝的要因によって支配されていることが主張されてきた。近年、歯科矯正学の診断法であるセファロ分析法の開発に伴って、遺伝的研究が進歩してきた。

下顎骨の異常な前方成長を特徴とする真性下顎前突は、しばしば家族性に出現するので優性造伝といわれ、下顎前突では、骨格 性の異常は遺伝的影響を、歯槽性の異常は環境的影響を強く受けることが明らかとなっている。これに対してアングルI級の 叢生は非逍伝性であるといわれ、また上顎前突に関して遺伝的影響は今のところ否定されていない。

以上のことから、臨床に携わるものにとって、不正咬合と遺伝との関係を知ることが重要と考えられる。それは不正咬合の原因を解明し、予防と治療を施し、その予後を予測するさいに、患者に対して適切な指導ができるからである。
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2014年12月23日 火曜日

歯の発育障害とその原因

1)乳歯と永久歯
母親が子供を連れて歯科医院を訪れる理由のなかに、「歯が生えてこない」「歯の形がおかしい」といった訴えをあげることができる。このような場合、齒の欠如や形成障害 が疑われる。乳歯の場合、形成時期からみてその原因の多くは胎生期、それも母親が 妊娠の事実に気づかない7週から10週というきわめて初期の段階から見出すことがで きる。胎児は母体というバリアーに守られているとはいえ' 乳歯の形成が妊娠の非常の不安定な時期に行なわれるだけに、その形成異常は皆無ではない。
一方永久歯では、その形成過程の多くは出生後、直接外界と接する厳しい環境のなか で行なわれるため、影鄉Iを受ける機会が多くなる。われわれ歯科医師は、子供の歯のわずかな変化から、子供の全身状態、全身的疾患、あるいは母親の®康状態などを把握するヒントを得ることができる。

2)歯の発育障害の種類とその原因
歯胚形成の各段階と、各々の時期に対応する障害を分類するにあたって、ここで は成長期および石灰化期の異常のぅちおもなものをとりあげ、原因を簡単に列挙する。

(1) 歯数の不足
これには、少数歯が欠如する部分的無歯症と、全部が欠如する全部性無歯症がある。原因としては、外海、局所感 染症、放射線障害などの局所的なもののほかに、外胚葉異 形成症、先天性風疹症候群、 色素失調症、ダウン症候群、 内分泌障害など、全身的疾患 に伴う場合がある。

(2)歯数の過剰
乳歯列や、永久歯列に現れ' そのなかでも正中過剰埋伏の 頻度が高く、原因としては、 基本的には歯胚の発育時期と 関連性がある。

(3) 歯の大きさの異常
巨大歯、矮小歯がこれに該当する。いずれも乳歯では少 ない。外胚葉異形成症、ダウ ン症候群、ヒューラー症候群などでは矮小歯がみられることがある。また、歯数の不足で述べた原因でも起こりうる。巨大歯は、巨大症、半側肥大症に伴うことがある。

(4)結節、隆線の異常
歯帯の異常発育であるカラベリー結節、中心隆線の過剰発育と思われる中心結節、基底結節の過剰発育などがあげられる。中心結節は長大になると内部に歯髄腔が入り込んでおり、破折およびそれに伴う露髄に注意を要する。

(5)癒合歯、癒着歯
ニ個の正常な歯胚が、その発育過程で、歯髄腔または象牙質で合体したものを癒合歯、セメント質のみで合体したものを癒着歯という。乳歯には前者が多い。いずれもX線写真による確認が必要である。

(6)タウロドントの歯
歯髄腔が長軸的に異常に長く、歯根の短い特徴的な歯で、歯内療法時には注意が必要 である。原因は明らかではないが、クラィンフェルター症候群との関係がいわれている。

(7)形成不全(減形成と石灰化不全)
エナメル質および象牙質は各々エナメル芽細胞、象牙芽細胞よりつくられる。しかし 厳密にはこれら二つの細胞はエナメル質および象牙質が石灰化されていく基礎となるタンパク質を分泌するものであり(基質の形成)、次の段階で石灰化が起こる。したがって、これら硬組織は基質形成とその石灰化という二つのステップを踏んで完成される。形成不全という言葉は基質形成が障害されることを指す減形成と、石灰化が障害されることを指す石灰化不全を意味している。原因としては局所的なものと全身的なものが考えられる。

① 歯胚形成期の外傷の影響
② 乳歯の根尖病巣
③ 放射線障害
④ 慢性歯牙フッ素症
⑤ 栄養障害
⑥ 内分泌障害
⑦ 熱性疾患、感染症 

①~③は局所的原因、④〜⑦は全身的原因である。全身的原因に起因する形成不全は 左右対称に歯牙の形成時期に一致して見られるため、その時期をある程度知ることがで きる。また、遺伝的原因による形成不全も認められている。しかしながらその造伝形態 は明らかではなく以下簡潔に述べるにとどめる。


⑴遺伝的Hナメル質形成不全
これには基質形成障害を主とする減形成型と、石灰化障害を主とする石灰化不全型が ある。減形成が軽度であれば表面が粗造である程度だが、重度になると実質欠損を伴ぅ。 石灰化不全を主とするものはエナメル質の外形には変化がないものの、石灰化が著しく 障害されているために激しい咬耗にみまわれる。

⑵遺伝的象牙質形成不全
歯冠は透過光で乳白色(オパール色)を呈している。X線的に歯髄腔の狭小化あるいはほとんど認められないのが特徴である。
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2014年11月12日 水曜日

妊娠中投与する薬剤の乳歯に与える影響

妊娠は受胎から出産までの女性の状態をいい、この時期はホルモン関係をはじめとしてさまざまな生理的変化が起こっているので、妊婦への薬剤投与に関しても十分な配慮が心要である。とくに妊婦の催眠薬として使用されたサリドマイドによるフォコメリーやその他の障害をもつ子供の出生が報告された後、薬剤の効果•有害作用に対して関心が非常に高まってきている。乳歯に与える影響のうち、妊婦がテトラサイクリン系抗生剤を服用すると小児の乳歯が変色することがある。歯の石灰化期にテトラサイクリン系薬剤の服用により黄色ないし褐色に着色することがある。

次に斑状歯について述べてみる。斑状歯は、歯の形成期間中にフッ素化合物を含む飲料水を多量に摂取したことにより生ずる歯の石灰化不全病変である。永久歯に多く現れるが、フッ素高濃度地域では、まれに乳歯にも現れる。特定の地域に集団的に発現し、歯冠表面に現れる白濁を主体とする歯の異常である。Ericsson (1976)の研究によると母体の血中フッ素量が相当上昇しても、胎児へ移行したフッ素は非常に低く、胎盤が「フッ素の障害」となっていると報告している。このことは斑状歯が乳歯に出現しにくい原因となっていると考えられる。

次にビタミン剤との関係についてみると、とくに口腔領域においてはビタミン欠乏との関係は深く、種々の異常をきたすことが少なくない。とくにビタミンAやDは胎児の歯や歯槽骨の発育が正常に行なわれるために重要である。乳歯に与える影響としては、ビタミンD欠乏による歯の形成不全や萌出遅延があげられる。
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2014年9月30日 火曜日

胎児の歯のでき方(石灰化開始)とカルシウムとの関係

我々ヒトの組織の中でもっとも硬いところはどこであろうか。
モース硬度計で、歯、 爪、骨などを測定してみると、歯のエナメル質がモース硬度は6°~7°であり、人体中でもっとも硬い組織であることがわかる。
象牙質のモース硬度は4°〜5°でエナメル質よりやや軟らかいが、これは象牙質の有機質の成分含有量がエナメル質より高いためである。歯の成分は、無機質95〜97%、水分1.2〜4.0%、有機質0.4〜0.8(乳歯0.5~0.9%)である。無機塩類はリン酸カルシウム塩、あるいはリン酸マグネシウム塩の形で存在する。エナメル質、象牙質、セメント質は、化学組成はそれぞれ異なるが、無機質、有機質、水分よりなる。無機質中でもカルシウムは特に骨や 歯の石灰化に関与している。石灰化のメカニズムでは、血清中のカルシウムとリン酸の溶解度の積が問題となる。

この考えを基にロビンソンのアルカリホスファタゼ説やノイマンのエキビターシ説が主流を占めていた。
しかし、1960年代末に組織中に単位膜で包まれた基質小胞とよばれる小胞が発見され、その中のカルシウムイオンとリンイオンがアルカリ性ホスファタゼによってアパタイト結晶を形成する場合と、このようにしてつくられた核を基にして石灰化が開始される場合とがあると報告されロビンソンやノイマンの両説を同時に示唆している。

歯の石灰化の開始時期は胎生4ヶ月ころから始まる。歯の石灰化は歯冠の咬頭頂部、前歯では発育葉部から始まる。
象牙芽細胞、エナメル芽細胞により象牙前質、エナメル前質がつくられ、さらにカルシウム塩がこれらに沈着して硬化していく。
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2014年7月23日 水曜日

妊娠の時期に歯はどのようにしてつくられるか

単一の細胞から構成されている原生動植物を除くと、我々、ヒトを含めて生物体は多数の細胞が集まったものである。その発生の初期においては、一個の細胞(受精卵)が新生児においては三兆個、成人に至ると五〇兆個の細胞体として活動が始まる。受精卵は、細胞数が2-的増加を示す。すなわち受精卵という一個の細胞から一個がニ個、ニ個が四個と増加するわけである。さらに胎芽は成長と分化を絶えず繰り返しながら、ヒトらしい胎児となるのは胎生一〇週の終わりごろである。妊娠初期の重要性は、この時期が組織分化期から形態分化期の時期に相当するからであろう。

エナメル器、歯乳頭、歯襄の歯をつくる組織を総称して歯胚という。胎生六週のころ、外胚葉からの上皮の増殖肥厚により歯堤が形成される。歯堤は、さらに膨隆増大して、歯胚の形成が始まり、エナメル器が形成される。さらにエナメル器を構成している上皮 細胞に分化が起こり、内•外Hナメル上皮、Hナメル髄、歯乳頭が形成され、釣鐘様形態となるため鐘状期の歯胚と呼ばれる。

続いてHナメル質、象牙質の形成とともに歯冠の形成が始まる。内.外ユナメル上皮はへルトウィッヒ上皮鞘を形成し、歯根形成を始める。硬組織の形成が進み、歯根が形成され始めると歯牙の萌出が始まる。みごとなバランスをとりながら歯冠の萠出と歯根形成がなされている。
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